心の病に文句を言うブログ

主に精神医学・心理学への疑問など。

心理カウンセラー・前田大輔先生の心療施術を実際に受けてみた感想

世の中には、医師や臨床心理士以外にも、「心の病を治せます」と広告し、その「治療」を生業としている人がいる。

 

この方もその一人。前田大輔先生。

 

このサイトを初めて見た方は、どのような感想をお持ちになるだろうか?

 

広告としてはよくできたサイトだと思う。何とかして楽になりたいと切に願う人にとっては、のどから手が出るほど購買欲が掻き立てられるかもしれない。

 

だが、よく見ると怪しい。

改善率94%とあるが、いつどのようにとった集計だろうか。

「本気で心の病を改善させたいと思っていない方は電話しないでください」というのは、ダイエットや植毛などの商品でよくある、客を煽るような手法だ。

「自分の味方になって自分を応援する」という意味もよくわからない。

「解放する催眠」というのも、よくわからない。催眠自体が神秘的な感じなので仕方がないことではあるのだが。

 

そしてなにより、その値段を見て驚愕する。

一回税込み20万円。

 

20万円!?

 

そもそも、物でもないのに一回20万円もする「何か」自体が珍しい。まあ実際に心の病が快癒するならそれぐらい払ってもいいのかもしれないが、評判も何も見つからない中、それだけのお金を払うのにはかなり勇気がいる。

 

とにかく、よくわからないがキラキラした雰囲気を持った「催眠」を謳い、はっきりした文体で、本当に苦しんでいる人をぐいぐい引き付けるような内容だ。これを見せられて受けたくならない人などいないのではないかというような。

 

この方のことを知ったきっかけは、あるウェブ漫画だった。ある日夜中に目が覚め、「うつ 画像」か何かで調べたところ、ヒットした。

そして、一気に読んでしまった。

 

うつ病になってしまった男の人が、いろいろ試した末、前田先生の施術でうつを治してもらう、という物語。

 

とにかく、視点が現実的で、経験者にはとても共感できる内容だった。

 

そして、一歩踏み出す勇気をもらった。

 

この漫画を読んで一念発起し、アドラー心理学NLPなどを調べ、森田療法の原著にたどりつき、半年ほどがんばることができた。

 

しかし、やはり苦しみは変わらず、ついにこの前田先生の施術を実際に受けてみようと思うに至り、両親の許可を得て、彼のもとへ赴いた。

 

前田先生の施術に関しては、ネット上にその評判や実際に受けた感想などがほとんどない*1。実際に受けるか迷っている方のためにも、この記事で、その時のことを書いてみたいと思う。 

(コメント欄でこの施術に関する質問をいただいたら、ご回答します。) 

 

その1 電話相談

 

前田先生の心療施術について、電話でその中身を本人から説明してもらえる(無料)。その時点で施術を強要されることはなく、電話の内容を聞いたうえで施術を実際に受けるかどうか決めればよい。

 

パソコン用のサイトには相談用の電話番号が載っているが、スマホ用には載っていない(お客様・推薦者の声も載っていない)。僕はスマホからアクセスしたため、メールで電話相談の予約をする必要があった。

僕の場合は漫画や先生の著書を何冊か読んでおり、施術を受けるつもりだったので、施術を希望することと希望日時をメールで送った。

 

すると、10分ほどたって前田先生から電話がかかってきた。

はきはきと、丁寧な口調で、「自分がどんなことをするか」について説明してくれた。

簡単に言うと、

「自分がカウンセラーとなり、自分自身の心を元気にする方法を教える。そのために、自分の心の声を聴くのが催眠」

「本当の自分はどうしたかったのかがわかる」

ということだった。

 

漫画に出てきた人と自分が実際に話をしているということで、少しどきどきした。

 

電話口での前田先生の印象は、漫画に出てきたものと変わらない。親しみやすい口調で、元気にうれしそうに自分の考え・施術について話していた。

心理カウンセラーというが、こちらから話すことはほんどなかった。なんなら僕が何で苦しんでいるか、最後まで詳しくは知らなかったと思われる。「心の病の原因は同じだから、種類はわけなくてもいい」というのが先生の考えらしく、それが本当なら確かにこちらの病状を知ってもらう必要はない。

 

日時と場所について確認し、電話を切った。

 

その2 先生のオフィスへ

 

先生の施術は東京・神戸の二か所で受けられる。僕が予約したのは東京オフィスだった。

山手線の目黒駅から徒歩5~10分ほどのビルの一室にある。入り口が少しわかりにくいが、多少遅れても最後まで施術してくれる(逆に時間より早く来ても入れない)ということなので、道に迷って時間に遅れることを心配する必要はない。

 

前田先生の施術は、三つのパートに分かれている。

①カウンセリング・施術の説明

②心を健康にするノウハウの講座(「安心学®」)

③解放催眠

オフィスに行く際に同行者がいる場合、②までは同じ料金で同行者も一緒に受けることができる。そのうえで同行者も催眠をかけてもらいたくなったら、一人当たり料金の半額(10万円弱)をさらに追加することで受けることができる。

 

今回は、母についてきてもらい、二人で行った。

 

その3 「安心学」の講座

 

オフィスにつくと、最初に飲み物をいただき、これからすることの説明を受ける。

 

詳しくは書かないが、個人的に印象的だったのは、「自分がやることは科学ではなく哲学」だとおっしゃっていたことだ。

科学:相違点を見つける、分析・説得、理論的一貫性を重視

哲学:共通点を見つける、現実的妥当性を重視

前田先生は、哲学的な意味での「健康」を目指しているらしい。ただ、哲学的な健康と科学(医学)的な健康の違いはよくわからない。

正直この哲学についての話は、医学や心理学からの批判に対する主張として、そのようにおっしゃっているのではないかという印象を受けた。

「批判はされるけど、じゃああんたら(医師や心理士)患者さんを助けられてるの?僕のやり方は、理論としては穴があるかもわからんけど、実際に助けてるもん」(関西弁)

とのことで、こういうことを言われると、苦しんでいる身としては期待が膨らむ。

 

また、一般の心理学と先生が実践する心療施術の違いについてもお話しされていた。

「心理学は『人間の行動を統計的に分析したもの』であり、自分の心療施術で使うのは『個人が安心を得るために必要な知識』」。一般の心理学では一人ひとりの病んだ心を救うことはできない、とおっしゃっていた。

一般の心理療法認知行動療法など)を受けてみてうまくいかなかった身としては、言いたいことはなんとなくわかった。

 

その後、施術を受けることに同意し、②の心の講座が始まる。

(①と②の間に甘いものを出してもらえる。僕のときは、先生の地元で有名なたい焼きをいただいた。)

 

これは、前田先生が今までの治療の中で、健康な人と心を病んだ人の違いを見出し、健康な人の共通点をまとめ、健康な人がしていることを教えてもらう、というものだ。

これを先生は「安心学」と名付け、特許を取得している。

 

「安心学®」は行動の統計による科学的アプローチではなく「安心」という最も重要なキーワードから心理を解き明かす最強のメンタルソリューション(心理的問題の解決法)です。 

 

安心学は基本的に「心を健康にするカウンセラーとしての能力」を高めるものであり、患者自身にこの講座を受けてもらうのは、その能力によって自らの手で自分自身の心を健康にする、という趣旨のものだと思われる。

 

その中身までここに書いてしまうと著作権に引っかかるのかもしれないので、詳しくは書かない。

僕が一通り教えてもらった感想を述べる。

(心療施術の流れだけ見たい方はその4まで飛ばしちゃってください)

 

正直、ほとんど役に立たない。

そこにあったのは「そもそも実践できない」「実践してみてもちっとも楽にならない」ものばかりだった。

 

先ほど述べた通り、前田先生の方法は、「自分で自分を癒す」というものだ。そこでは、「頭と心」「意識と無意識」のように、自分の中に意識で自由にできる部分(頭)とそうでない部分(心)の2つが仮定されている。

 

しかし、人間の精神は、本当に頭と心が完全に分かれているだろうか?

さらに言うと、意識(頭)は本当に自分の自由になるのだろうか?

自分の意識している自分とは別にもう一人の自分(心)を想定し、それを「癒す」「安心させる」というようなことが、普通の人にできるのだろうか?

 

もし本当に、どんなにひどいうつ病のさなかでも、自分が自由にできる部分(頭・思考)があり、それをどうにかすることで楽になることができるなら、誰かに言われるまでもなく既にやっているのではないだろうか。

だって、病んでいる人は他人にどうにかしてもらいたいほど苦しんでいるのだ。自分でどうにかできるなら、とっくにどうにかしている。

 

もちろん、自分で自分を喜ばせるというのは、健康な人なら普通にできるし、やっていることだ。自分へのご褒美にスイーツを買うとか、休日は趣味をして過ごすとか、嫌なことがあったら誰かに慰めてもらうとか。

だが、心を病んでしまった人は、感情そのものが壊れてしまっている。何をやっても苦しいし、何も感じないという人は多いだろう。そんな人に「自分を安心させよう」と言ったところで、安心感を感じること自体ができない以上、それは不可能である。

 

安心学のなかにあったのは、「健康な人がやっていること」「健康な人なら喜ぶ・安心すること」であり、病んだ人がそれらのやり方だけを真似して実践することなどできないのだ。

「足が丈夫な人は毎日ウォーキングをしています。だからあなたも適度に運動しましょう」と、骨折してまだ骨がくっついていない人に言うのは間違っている。安心学は、それくらいのことを病んだ人に求めているように感じられた。健康な人にとっては当たり前でも、病んだ人が実践するのは不可能に近いだろう。

 

また、前田先生は、「安心とは快の感情」だと言っていた。苦しんでいる人にとっては「楽」であるとも言えるだろう。

 

ならば、「自分が楽になるように頭(思考)・行動を変えてください」というのは、まさに認知行動療法ではないか。しかも、頭・心・自己虐待・自分で自分を安心させるなど、定義の曖昧な言葉を使った、わかりにくい認知行動療法である。

 

その違いと言えば、認知行動療法は楽になるようならばどんな思考でもOKで、安心学は具体的にどうすれば楽になるかが書いてある。安心学の方が具体的であると言えるが、いくら具体的に方法を示したしたところで、その方法が実践できないものである以上、安心学は間違っているということになる。

 

「自分の心を安心させる」ための安心学は、残念ながら結局狭義の認知行動療法でしかないと思う。

 

ちなみに、安心学で教わる「心を楽にする方法」は、そのうちの大体のことが先生の著書にも載っている。(ここまで酷評してしまって何だが)もし興味がおありなら、大金を払ってこの施術を受ける前に一度読んでみることをおすすめする。

 

 

その4 催眠療法

 

安心学の講義だけで、3時間ほどかかる。その後、横になって催眠をかけてもらう。

 

この催眠だが、何をされるのかというと、

「ソファか長椅子に横になり、穏やかな音楽をかけてもらい、先生の言葉に従って極力体の力を抜き、昔のことを思い出していく」

というものだ。

 

催眠状態と言っても、「音楽+脱力+先生の言葉」の3つしか使わない。その音楽もいわゆる「自律神経を整える」系の、Youtubeなどでも聞けるようなものだ。先生の催眠療法は、怪しい行為では全くない。

 

これも、残念ながら僕には全く効果がなかった

 

本当に横になって昔のことを思い出しただけで、涙があふれることもなければ温かい気持ちにもならなかった。

いや、正確には極度のリラックス状態であったから、不快ではなかったし、想像の中で感動的な感じにもなったが、それだけであった。「君の名は。」を見ていた時の方がよっぽど感動していたと思う。

 

先生いわく、「何も思い出せなくても、何なら寝てしまっても効果はある」とのことで、実際に催眠を受けた時点では何も見えなかったと言う人が、家に帰ってから一人で泣いていたりすることもあったらしい。

 

しかし、僕の場合はその後何も起きなかったし、今に至るまでずっと苦しいままだ。

 

この催眠は、効く人には効くのかもしれないな、と思う。僕は催眠などというものを受けたのは初めてだったが、それでも「催眠術の中でも多分かなり質のいい方だろう」と思わせるような雰囲気があった。

 

おそらく、この心療施術プランで症状が改善した方は、安心学があのようなものだった以上、そのほとんどが催眠のおかげなのではないかと思う。効く人には効くような「気がする」。これはあくまで僕の感覚であるし、実際どのように作用するのかは、僕には効かなかったのでわからない。

 

ちなみに、催眠で使った音楽は、CDに焼いて配ってくれる。これを聞きながら横になっていれば、実際に催眠を受けるのと同じような効果があるらしい。僕も家に帰って何回かやってみたが、今度は本当に寝てしまった。リラックスするにはちょうどいい音楽なので、睡眠導入用にはもってこいである。

 

この催眠と②の安心学の関係について聞いてみると、

「催眠によって今まで押さえつけてきた心を解放し、心の本当の欲求を知る。そのうえで、安心学を用いて、素直になった心を守っていってもらう」

といったようなことをおっしゃっていたが、明確な答えは返ってこなかった。

 

どうやら、催眠療法と安心学に直接の関係はなく、催眠の方を先に始めたようだ。

 

先生の話によると、それまで飲食など様々な仕事をしていたが、阪神淡路大震災をきっかけに、「これからの時代は人の心だ」と思い至り、催眠術を習い始めたそうだ。最初はいわゆる「心をあやつる催眠」(体が勝手に固まる、みたいな)をやっていたが、あるときマリッジブルーになってしまった新婚さん(妊婦さん?)を催眠状態にしたところ、「えらく深く入った」そうで、先生が何か暗示をかけるまでもなくその方は勝手に涙を流し、「自分の本当の心がわかりました、ありがとうございます」と大いに感謝されたのだとか。

それ以降心理療法の道に進んだということだそうで、その成り立ちから考えるに、安心学は「催眠療法をするなかで気づいたこと」の集積であると思われる。あくまで催眠療法がこの心療施術の要なのだろう。

 

その5 その後

 

施術を受け終わったのは夜の8時くらいであった。始まりが昼の1時半ごろだったことを思うと、普通よりだいぶ長引いたと思う。どうやら先生にとって僕はしゃべりやすい相手だったらしく、たくさん話をしてくれた。

 

しかし、先ほども書いたように、今に至るまでこの心療施術の効果だと思われるようなものは何も現れていない。

安心学を実行しようにも、前述のとおり実行できないかやっても楽にならないものばかりなので、効果はない。いまだに苦しいままである。

 

それなら前田先生に電話で相談すればいいのであるが、実は施術以降一度も電話をしていない。正直に言ってしまうと、再び先生の声を聴く気にならないのだ。

 

前田先生は決して悪い人ではないし、催眠術も安心学も、先生が真面目に作り上げてきたものなのだと思う。

だが、とにかく自信たっぷりで、きつい言い方もされる。ご本人が(精神科に行くレベルで)心を病んだ経験がないのだろう。心を病んだ身で、あのパワフルな人間に接するのは少ししんどい*2

 

それに、僕が電話で相談したところで批判になってしまうし、言い合いになるのは御免だ。話がしたくないのなら、それはまさに先生の言う「本心」だろう。無理して電話すれば、それこそ安心学に反する。

 

まとめ

 

 残念ながら、僕には全く効果がありませんでした

 

以下、一人のクライアントとして、この心療施術を評価したいと思う。

 

〈良かった点〉

・押しつけ商法にならないよう、どこからお金が発生するかをはっきりさせていた

・施術は一回、日帰りで済むので、効果のないカウンセリングをだらだらと続けることにはならない

・同行者にも追加料金なしで安心学をレクチャーしてもらえる

催眠療法はおそらく質が高く、効くと感じる人はいると思われる

・先生の人柄に元気をもらう人もいるかもしれない

 

〈悪かった点〉

・とにかく高い。そりゃあ治ればいくら払ってもいいのかもしれないが、まず受けに行くのを躊躇する。これでは苦しむ人の助かりたい切実な気持ちを商売に使っていると言われても仕方がない

・先生の口調がきつい。説明がヒートアップすると圧倒される。心を病んでしまったクライアントさんの中には、先生の言い方で元気をなくす人もいるのではないか

・安心学は残念ながらほとんど役に立たない。少なくとも本当に苦しんでいる人には実践できないし、やっていることは認知行動療法と似たようなもの

・治らない人は治らないし、その場合20万円が無駄になる

 

そして、最初の心療施術のサイトには、疑問を呈させていただきたい。

まず、「2週間以内の改善率94%」というのは根拠のある数字だろうか。僕は改善しなかった方の人間だが、施術後に改善したかどうかの調査は来ていない。

つぎに、「うつ病・パニック」が「必ずよくなる」というのは明らかに過大広告だ。僕が先生から聞いた話の中に、重篤うつ病や不安障害の症例はなかった。

 

本当にあなたの心療施術にたくさんの人を救える自信があるなら、まず病院で本当に苦しんでいる方々を助け、そのうえで堂々と「うつ病を治せます」と掲げればいい。

それができないなら、申し訳ないが、あなたの施術もその広告サイトも、本当に苦しんでいる人々の気持ちをかき乱し、彼らから金を吸い取っていると言わざるを得ない。

 

この手の「心の病を治せます」という広告は、治せなかった時点で、その患者にとっては全てが虚偽広告になることを忘れてはならないと思う。これは苦しんでいる人が対象なのだ。「『おいしいピザ』の広告を見て実際に食べに行ったピザがおいしくなかった」みたいな話とはわけが違う。

あなたは本当に病んだ経験がないからわからないかもしれないが、心の病に苦しんでいる人は、来る日も来る日も苦痛に耐えながら、いつか楽になる日が来るのではないかと思って必死に生きている。そういう人にとって「うつが治せます」みたいな広告は、腹ペコの犬の前に肉をぶら下げているようなもので、喉から手が出るほど手に入れたくなるものだ。だからこそ、明らかにおかしい値段で、詐欺広告にしか見えないようなサイトであっても、一縷の望みを託し、大金を払ってわざわざ施術を受けに行くのである。それでも全く改善しなかったときの患者の失望を考慮したうえで、あのサイトをつくっているのだろうか?あの値段設定なのだろうか?

あなたの施術は絶対ではない。あのようなサイトが、そのサイトだけで、苦しんでいる人の気持ちをかき乱すことをどうか知ってほしい。「治るかもしれないけど治らないかもしれない、これで治るのだったら今受けておかないとこの先の人生損する、でも治らなかったら20万円捨てるようなもんだし、どうしよう、どうしよう・・・また騙されるのは嫌だけど、もしこれで治るんだったら受けなきゃ、どうしよう・・・」という悩みを、このサイトにたどり着いた一人ひとりにさせているのだ。心の病に苦しむ人は、それだけ真剣なのだ。このことを、「心の病を治せます」と謳う全ての「療法家」にどうか知ってもらいたい。

 

総括すると、

・内容自体は悪いとは言い切れないが、高すぎる。安心学もアフターフォローもなしで、催眠療法だけで一回2~3万円というのが妥当ではないか。

・先生本人は悪い人ではないと思うが、本当に自信があるなら医学に進出すべきで、それがない時点でやはり施術の効果は怪しい。効果の怪しい施術に、あのような過大広告をするべきではない。あのような広告サイトが心の病に苦しむ人の気持ちをいかにかき乱すか知って、適正な表示をするように努めてほしい。

 

最後に、実際に受けようかどうか迷っている方へ。

 

催眠自体は人によっては効果があるかもしれません。「横になって先生の声を聴きながら、物凄くリラックスして昔のことを思い出す」ことで改善しそうだと思い、かつそれに20万円払ってもいいと思う方は、受けてもいいでしょう。

ただ、迷っている方、サイトを見て「これを受けなければ治らないのではないか」「これを受けないと残りの人生を損するのではないか」といった強迫観念のようなものに駆られている方は、受けなくてもいいと思います。それはサイトに苦しめられているだけで、言うならば不安症状の一種で名はないかと思います。

考えてみてください。世の中には「うつを治せます」みたいな商売がたくさんあります。それらの効果の真偽も根拠も不明な「施術」を、今回のように見つけるたびに動揺し、受けなければならないとしたら、いくらお金があっても足りません。それらを受けない理由は、お金が足りなくなることはもちろん、「どうせまた治らないだろう」と思えるからです。そして、その予想はきっと正しい。もし本当に治せるなら、とっくに医学が注目しているはずなのです。

この前田先生の施術は、「うつ病」が「必ず良くなる」と書いてある点、だいぶ心を揺さぶられると思います。しかし、僕は実際に受けた身として、ほぼ確信をもって「過大広告」「嘘」だと言いたい。結局、他の「治せます」サイトと変わりません。何なら先生自身が批判していた「他の心理療法」とも変わらない。治らない人には治らないのです。むしろ値段が高すぎる点で、前田先生の施術の方が経済的には劣っています。

 

僕が言える確かなことは、「他の『心の病を治せます』広告を信じないならば、前田先生の施術も受ける必要はない」ということです。

あのサイトや先生の電話相談で「これだ!」と確信した方や、とにかく治りそうなものをなんでも試してみたい方は受けてみてもいいのではないかと思います*3

 

以上が前田大輔先生の心療施術を実際に受けた感想です。

最後まで読んでいただき、ありがとうございました。

 

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*1:そのことを前田先生は「これだけネットが発達したなかで、批判の記事が全くない」ということで、ご自身が信用に値することの根拠のように語っておられた。

*2:だが、ひと月に4・5回も電話し、治った人もいるらしいので、これは相性かもしれない。合わない人もいる、ということにしたい。

*3:こういうことを書くと、「治ると思えば治るのに、そう思えなくなってきた」「この体験談を読んだせいで、前田先生の施術に疑問を感じ、そのせいで効果が減るのではないか」と思う方もいるかもしれない。だが、少なくとも僕は治してもらう気満々で行って治らなかった。また、過去には疑わしさMAXで先生の言うことを論破する気満々で施術を受けに行って治ってしまった人もいるらしいので、おそらく関係ない。心を病んだ人にとってとにかく厄介なのはこの手の「治るのではないか」「治らないのではないか」という強迫観念で、それを呼び起こすこの手のサイトはやはりたちが悪いと思う。